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私はいつだってこの人の言葉だけを全て信じてしまっていた。
「カレン、君は生きろ」
先ほどとはまったくトーンも声音も違う言葉が小さく聞こえて、
私はまた同じ間違いを犯したことに気づいた。
ああ、わたしはいつだってそうだ。
彼が言った言葉すべて真正面から受け止めすぎていた。
彼のことが嫌いだと思った時ですら、彼の言葉を疑ってはいなかった。
私はどこまでも彼の思い通りになるのだ、
こんな時でさえ。
酷く傲慢で
酷く優しい彼の嘘を一度くらい疑えばよかった。
ナナリーもC.C.もシャーリーも彼の胸から欠けた世界。
大切なものを失いたくない彼をわかっていたはずなのに
彼が大切なものを守るためにいつも取る方法も知っていたのに
駒扱いされたことに憤りながら、自分自身駒でしかないときっと思ってしまっていたんだ。
だから信じた。
私はまた彼の言葉を信じてしまった。
彼の思惑通りに彼から離れてしまった。
彼の前に立った黒いナイトメア。
たしか、中華連邦につかまる前に見たゼロの機体、蜃気楼。
誰がのっているかは知らないけれど
逃げ切ってくれればいい。
正直悔しいけれど、
それを願うことしか今の私には許されないから。